20グラム

いつの間にか夏も終わり、台風の毎に温度と湿気が吸い取られていきました。夏は夏で湿度がたかくてやりづらいのですが、冬は冬で気温が低くてやりづらいのです。しかし、ここでしかできないことがあるわけでしてそれが「Hatta」の楽器を作り上げているのもまた事実なのであります。

もっともよい時期ともいえる秋にまたひとつマンドリンの制作を始めました。いつもと同じ型だけど同じものは二度ない仕事であります。

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今回特にスプルースで感じた事が、いつも以上に頑固だということ。よっぽど変な木取りでもなかったように思いますが順目と逆目がはっきりしすぎています。表面の削りではさほど感じなかったのですが裏面では結局最後まで削りの方向が変わることはありませんでした。接ぎのラインで如実に表れる逆目に苦戦しました。

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ところで、厚みを整える際に気にする点がいくつかあるなかで、左右されるほどではないけど確認する点があります。それが重さなんですけど、ある程度納得するまで削っていきそろそろだと感じ始めたら重さをはかります。個体差があるので必ずどれだけの重さにするということはありません。厚み、強度、鳴りをみたうえで今回は何グラムだったなという程度なんですけど。

今まで数本やった中で、もっとも重かったものと軽かったものの差が20グラム。外周の抜き方や量るタイミングの誤差があるとしても結構な差です。改めて木の個体による差を実感する毎日でございます。

ちなみに、マンドリンの鉋屑で20グラムというとこれくらい。

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形は同じでも違うものを作っている、と言われるのも少し理解していただけるのではないでしょうか。